day0

2018年6月某日。
ついに造血幹細胞移植手術を受けた。

今回受けたのは「末梢血幹細胞移植」と呼ばれる方法で、まずドナーさんに顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)と呼ばれるものを注射する。
すると、何故か造血幹細胞が骨髄から末梢血、つまり血液中に流れてくる。
そして、人工透析のような感じで、通常片腕の静脈から血液を採取し、一種のろ過装置みたいなもので血液から造血幹細胞を抜き取り、もう片方の腕の静脈に戻す。
この方法によって一定量の造血幹細胞を取得したら、それを患者の待つ病院に運び、輸血と同じような感じで患者の静脈に注入する。
ドナーさんの骨髄液を抜き取り、それを患者の静脈に輸血する方法もあるのだが、この場合ドナーさんに全身麻酔が必要だったり、また大量に骨髄液を抜かないといけなかったりで、ドナーさんの負担が大きい。
また、骨髄でなく「さい帯血移植」という方法もあり、この場合ドナーさんは不要となるが、さい帯血の場合はもともと量がスゴく少ないため、移植後に好中球(白血球の一種)が一定量を越える「生着」と呼ばれる状態になるまで1ヶ月ほどかかる。
その点、「末梢血幹細胞移植」はドナーさんの負担が比較的少なく、また「生着」までの期間が2週間程度と言われており、バランスの良い治療方法なのだろう。
ちなみに主治医曰く、G-CSFを注射すると末梢血が血液中に流れてくる現象は、別目的の実験中に偶然発見されたらしい。
何が功を奏するか、わからんものだ。

ところで、ドナーさんは末梢血幹細胞を抜き取るため、数日〜1週間程入院をしなければならないのだが、その入院費用は患者持ちだ。
また、骨髄バンクが事前にドナーさんを選別するための調査、ドナーさんの精密検査、末梢血幹細胞を患者の病院に運ぶまでの費用、これらも全て患者持ち。
殆どが高額療養費制度や医療費控除の対象にはなるのだが、唯一ドナーさんの入院中の差額ベッド代だけは全額患者持ち。
ドナーさんによっては通常の大部屋によいと言ってくれる人もいるが、反対にここぞとばかりにお高い個室を希望する人もいて、患者側は拒否できない。
というか、その辺は事前に確認が無く、全て請求書が来てから分かる。
ぶっちゃけ、骨髄バンクのドナーさんというのは、何ら名誉や金銭的な見返りが無いにも関わらず、骨髄バンクにわざわざ登録して、さらに数日〜1週間もの間、わざわざ仕事休んで入院してくれる、メチャクチャ親切な人なのだ。
そんな人が、1日1万程度ならともかく、1週間でン十万もかかるような個室を希望するとは思えない、と信じたい。

閑話休題。

夕方、末梢血幹細胞が到着。
いよいよ移植手術の開始だ。
と言っても、自分はただ寝てるだけだが。

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これが末梢血幹細胞。
赤血球はもう少し濃い感じの赤だが、こちらはやや薄めの赤。
赤いのは赤血球が混じっているためらしく、実際の末梢血幹細胞は透明らしい。
これを輸血と同様、時間をかけて少しずつ注入していき、ついに移植終了。
特に何事もなく…というわけではなかったが、あまり詳細を書くとドナーさんに身元がバレてしまう可能性があるため、ここでは書けない。
何にせよ、最終的には無事終えることができた。

ところで、造血幹細胞移植を行った日を、「day0(デイゼロ)」と呼ぶらしい。
この日を境に生まれ変わるとか、そういった意味なのだとか。
確かに、この日から自分の血液を作るのは、自分の骨髄細胞ではなく、ドナーさんから移植された骨髄細胞である。
今までの自分とは違う自分になったのかも知れない。
そういう意味では、day0 と呼ぶにふさわしいのだろう。

これまでの半年間、死ぬのが怖くてメチャクチャ落ち込んだ夜もあったし、副作用で苦しんで一日辛い日もあった。
それも何とか乗り越えて、ついにこの日を迎えることができた。

これも、主治医を始めとする病院のスタッフの皆様、このブログやSNSを通じて応援して下さった皆様、そして何と言っても自分を支えてくれた家族のおかげです。
本当にありがとうございます!
これからもまだまだ闘いの日々は続きますが、まずは退院目指してこれからも頑張っていきます。

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