造血幹細胞移植に向けて

2018年5月19日。
以前チラッと書いたが、造血幹細胞移植手術を受ける日が決まった。
…が、具体的な手術日をここで書くことはできない。
というのも、骨髄バンクのドナーと登録患者は、お互い素性を隠すのがルールとなっており、ここで具体的な手術日を書くことでそこから相手が類推されてしまう危険性があるためだ。
ドナーは善意で提供してくれているという建前となっているが、やはりそこは人間なので、相手が分かってしまうといろいろ難しい問題が出てきてしまう可能性があるのだろう。
ということで、今後の闘病記については、日付はぼかした書き方になるし、SNS等でリアルタイムに状況を公開することもできなくなるが、骨髄バンクというシステムを守るためにも、ご了承願いたい。

移植前の検査については、ここの最後の方に書いたものに加え、さらに肺機能検査を受けた。
口にパイプを加えて勢いよくフーッと吹いたりするアレだ。
検査の結果、特に問題は見当たらなかった。
これで検査は一通り終了。
後は移植後に何か異変があった時の比較用に、移植直前にCTスキャンを受けるくらいだ。

そしてこの日、妻と一緒に主治医から移植に向けての治療内容とスケジュールについて説明を受けた。
まず移植12日前、首にCVカテーテルを入れ、翌々日から抗がん剤投与を開始する。
キロサイドを2日間、ブスルフェクスを4日間、エンドキサンを2日間という順だ。
この抗がん剤は、今までよりも強力なもので、これで現在の骨髄の機能を完全に殺してしまうそうだ。
(キロサイドは今までの抗がん剤治療でも投与されてきたが、今回は量がハンパないらしい)
それくらい強力なものなので、当然副作用もこれまでとは比べ物にならないくらいキツく、痙攣が起きたり、心臓や肝臓にも異常が起きる可能性もあるらしい。

これによって、体内の白血球はほぼ0になるので、移植手術の1日前頃に無菌室に移動する。
現在は準無菌室だが、今度は準がつかない完全な無菌室だ。

そしていよいよ、造血幹細胞移植だ。
数時間かけて、ドナーの造血幹細胞を首に入れたCVカテーテルから投与する。
この後、移植した造血幹細胞が自分の骨髄に定着し、血球が作られるようになるまで待つ。
白血球の一種である好中球が一定量を超えるようになると、これを「生着」(せいちゃく)と呼ぶが、大体2週間ほどかかる。
この間、口の中が口内炎だらけになったり、酷い下痢になって何度もトイレに行くハメになったりするそうだ。

生着すると、今度は移植片対宿主病(GVHD)と呼ばれる、ドナーの白血球が、移植先の患者の内臓等を異物と認識して攻撃する症状が起きるようになる。
GVHDが起きると、内臓がやられて下痢になったりするのはもちろん、皮膚が変色したり、肝不全になったり、といった現象も起きる可能性がある。
免疫抑制剤等である程度症状を抑えることもできるそうだが、それでも移植を受けた患者の1割程度が命を落とすこともあるくらい、キツい。
あまりにGVHDが酷い場合はステロイドも使うそうだが、その副作用として高血圧とか骨粗しょう症が起きる可能性もある。
なので移植前検査で心エコー検査したり骨密度測定したりしたわけだ。
ちなみに白血球が攻撃するのは悪いことばかりではなくて、まだ残っているがん細胞も攻撃して、完全にがん細胞を殲滅するという、いい点もあったりする。
この辺は症状を見つつ、医師と相談しながらうまくコントロールしていくしかなさそうだ。

GVHDを乗り越え、順調にいけば移植後2〜3ヶ月には退院できるようになる。
ただ、退院したからといって一安心、というわけではなく、やはり免疫力が落ちているので感染症のリスクは高いし、また体力もかなり落ちているのでしばらくは日常生活送るのも一苦労だろう。
そして退院後もしばらくは週に1回は通院して検査しなければならないし、ちょっとでもおかしいところがあれば最悪再入院なんてことにもなりかねない。

そして一番気になっていた仕事だが、主治医の話では2年位は仕事につけなくなるかも、と言われた。
要は退院後もしばらくは通院の頻度も高いし、免疫力も落ちているからオフィスのような人の多いところにいくと感染症にかかりやすく、何かあれば急に仕事休まなければならなかったりするので、その都度仕事の調整をしなければならず、精神面での負担が大きいから、ということだそうだ。
自分の場合、プログラマという職業柄、在宅で仕事しやすいので、在宅中心で仕事できるようにすれば、2年と言わず退院後1ヶ月かそこらで働くこともできなくはないだろう。
もちろん、その辺は仕事先の理解が重要なのだが、幸い去年の8月からお世話になっている会社さんからは、その辺うまく調整すると言って頂けたので、何とかなりそうではある。
ただ、スケジュールありきの仕事だと急に入院とかになって仕事先に迷惑かかるのは避けられない。
やはり理想は自分でアプリをリリースするなりサービス立ち上げるなりして、休んでてもお金が入ってくる仕組みを作ることだろう。
そんな簡単にできるのであればとっくの昔にやっているが。

通院は少しずつ頻度は低くなっていくものの、5年程続くそうだ。
その間、慢性GVHDを発症したり、強い抗がん剤を使ってきたことによる二次がんの発症、そして何より再発という可能性がある。
日常生活で気をつけてれば大丈夫、というものでもなさそうなので、なるようにしかならない、というかならないと信じるしかない。

そもそも、造血幹細胞移植後の5年生存率は4割程度なのだ。
放っておいたら今頃100%死んでいただろうし、移植しても5年生き延びられる人は4割。
二次がんや再発を恐れてビクビクして生きるより、明石家さんまじゃないが、もう「生きているだけで丸儲け」くらいの気持ちで開き直ったほうが気がラクだ。


だからこそ、退院したらやりたいことは後回しにせず、どんどんやっていこう。

家族との時間も、もっともっと大事に過ごそう。


いざという時、後悔しないために。

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